No.367

雨が好きである。

雨の前の匂い、草に落ちる音、軒先の雨垂れ、道に広がる波紋、水たまりに入りたがる子どもたち。

それらを眺めるのが好きだ。

掛け値なしに良い天気だと思う。

しかし濡れるのが好きなわけではない。…と思っていたのだが、実際に文字にしてみると何か違和感があった。そして、よくよく考えてみるに、実は濡れるのさえもそれほど嫌ではないことに気がついた。

考えてみれば、濡れない所に来たのに着替えがないとか、濡れたくないなと思ったのに濡れなくてはいけないのが嫌なのであり、つまりは仕事が嫌なのである。